注意!全面的にネタバレしています ジャケット

基本情報:ジャケット/THE JACKET(2005) 松竹 2006/05/20公開
アメリカ・ドイツ映画 103分 http://www.imdb.com/title/tt0366627/
DVD2006/10/28 松竹ホームビデオより発売 DZ-0310 税抜\3,800 税込\3,990
日本語字幕:栗原とみ子/日本語吹替翻訳:久保喜昭
http://www.shochiku.co.jp/video/dvd/2006/dz0310.html
監督:ジョン・メイバリー
製作:ジョージ・クルーニー 、ピーター・グーバー、スティーヴン・ソダーバーグ
音楽:ブライアン・イーノ
出演: エイドリアン・ブロディ-ジャック・スタークス
キーラ・ナイトレイ-ジャッキー・ブライス
クリス・クリストファーソン-ベッカー医師
ジェニファー・ジェイソン・リー-ローレンソン医師
ダニエル・クレイグ-ルーディー・マッケンジー

本作は公開当時より、パンフレット等にて夢オチや「ヤコブの梯子」( 「ジェイコブス・ラダー」 という映画もある)について言及されている。作品としてはタイムスリップと夢オチのどちらにでもとれるようになっているが、タイムスリップだとするとその方法に説得力が欠け、評価を落とす原因になっている。では夢オチとした場合はどこまでが夢なのか、DVDの3種類別エンディング以下の通り(1)ベッカー医師の声で目覚める(2)イラクで目覚める(3)イラクで死亡。(1)はタイムスリップが夢、(2)は帰還後のアメリカでの出来事が夢、(3)は(2)に同じだが、すべてが死ぬ間際に見た夢ということになる。それでは映画本編でのジャックがこのまま死ぬのか、それともまた目覚めるのか?頭のけがということと、3種類の別エンディングはあくまでも別エンディングであることから考えて、ジャックは病院の中でこのまま死ぬと考えられる。

夢であることを示すアイテムとしてジャッキーの車にあるドリームキャッチャーがあり、ラストシーンの光はヤコブの梯子のそれという見方ができる。夢の特徴とは一つには自分にとって都合の良い展開、もう一つは何らかの形で現実の世界の人物が変容して出てくることである。前者に関して言えばジャックは自分を閉じ込めた連中への仕返しをし、唯一自分に好意を持ってくれたローレンソン医師にはババックの治療というご褒美を与えた。後者に関していえばイラクの少年親子とババック親子が同じ俳優たちだというのは分かりやすい記号である。またこの親子もジャッキーの親子も母子家庭という設定は興味深い。ジャックの家庭もこれに近いと予想される(身寄りはないということだが、母子家庭かそれに近くその後に親と離れることになったと想像される)。

ドリームキャッチャー

またジャックのフラッシュバックには数箇所(15分、22分、53分、1時間32分等)でキーラ・ナイトレイが登場する。この中で15分、22分の段階ではまだジャッキーは登場しない。しかしそれより重要なのは53分と1時間32分のシーンで、ここのキーラはジャッキーとかなり違う感じになっている。白衣ということもあって病院関係者を思わせる。そのように考えると後ろの男性は医師のように思えてくる。ここでジャックの頭の中で発砲事件直前に出会った少女ジャッキーと病院で出会ったこの女性を結びつけたという仮説が考えられる。つまり彼は夢の中で自分の死因を探るようにみえて、実際に行っていたことは夢の中ではじめに出会ったジャンキー同然のジャッキーを更正させる旅であった。以下これを前提としてはこの映画について考えてみる。 Keira_or_Jackie

この現実に戻ったように見えても実際には戻ることなく、夢が入れ子になっている状況はどこから始まるのか?一度目のタイムスリップは夢としての不自然さはない。未来で過去(1993年1月1日より後)の情報を知るのは二度目のタイムスリップ以降である。

一度目のタイムスリップでジャックはいきなり自分が死ぬことをジャッキーから知らされるが、「一度目のタイムスリップからが夢」説は現実世界で明らかな死を示す材料が少ないという点が弱い。それでも一度目のタイムスリップから帰還した後に施設からすぐに逃げ出せるという、現実的ではない警備の甘さを考えるとやはり一度目の後も夢の中の可能性は高い。

二度目以降は夢というのは、ベッカー医師やローレンソン医師に未来で知った事実を教えるという点で分かりやすいので、この時点では夢かどうかはここでは問題にしない。問題なのは夢の始まりが一度目のタイムスリップか二度目のそれかである。一度目の後のルーディー・マッケンジーとの会話では彼も地下に行ってジャックと同じ治療を受けたと言い、タイムスリップを匂わす発言もしているが(これが夢の中ならとくに問題はない)、何度か見てもどちらかに絞る決定的な要素は見いだせないので、ここで結論を出すことはやめておこう。

ジャックが夢の中でしたことは自分にひどく扱った医師への復讐、発砲事件の真犯人を思い出すこと、そしてあの少女を忘れないことであった。夢の中の復讐で彼はあるものは死を、別のものは生き地獄を与えた。真犯人はジーンがジャックからの手紙を読む場面で酒場にいるのが写る。そして貧しい生活をしているジャッキーを病院勤めにしてやった。これが、ジャックが死ぬ間際に行った行為ということになる。

*ラスト直前のジャッキーがジャックに話しかけるセリフ「I'm on my way of the hospital」が字幕では「病院勤めなの」となっているが残念ながら「勤め」の二文字を入れるのが早すぎる。吹替のように「病院に行くところだけど」となっていないとジャッキーの変化を感じられない。(2006/12/27)

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